味園ユニバース 回想その一
「あの、これ。
ありがとう…。」
ちょっと樟脳臭い?
箪笥の肥やしを貸してもらい←
記憶を無くして
居候となったポチ男に
カスミは父親の遺品を貸している
そのとき
まだ
ポチ男はそれがそういうものだとは
知らないわけだが。
ポチ男からでてきた
「ありがとう」という言葉は
あまりにも
透明で
まっすぐで
素直でいて
無器用。
刑務官とのやりとりでも
素直すぎる
「お世話になりました」
という言葉を発している。
ポチ男でいた時間にも
素直にありがとうが溢れ出ていた
クズと呼ばれて
自らをその場所においても
汚されなかった茂雄の
一部分
茂雄の
ほんとう…
心の奥。
ふとした言葉と
纏う匂い(しまいこんでた記憶)
コトバ